"誠実さ"をデザインする 3つのHonest

誠実で勇敢で思いやりがあれば、本物の人間の子供になれる - ピノキオより

エコ、エシカル、ソーシャル、、、誠実さや透明性を求める気持ちの盛り上がりが、ピークになりつつある気がします。

企業の「中の人」を見える化することがトレンドになり、「誠実さ」を、コミュニケーションで伝えようとしていたのが、ここ1~2年だとすると、今後は、「誠実さ」がブランドやプロダクトデザインそのもののコアになっていく動きを感じています。

「モノ」をデザインするのでなく「モノを作り、届ける工程すべて」をデザインすることが、もっとあたりまえになっていく気がして、そんな新しいブランドの話をしたいと思います。
"Be Honest." 誠実さをデザインするってどんなかんじでしょう?

honest by.

2012年1月に、Bruno Pieters(ブルーノ・ピータース)氏が立ち上げたhonest byは、だれが、なにを、いつ、どこで、どのようにして、どれくらいの時間をかけて作ったのか、原材料、生産地、生産工程、人件費、輸送費、宣伝費、卸の掛率まで(!)、プロダクトができるまでのすべてを開示する、新しいブランドです。

彼は、アントワープ王立芸術アカデミーをへてパリコレで活躍する、モードの世界の真ん中にいる人なのですが、2010年にインドを訪れた際、現地の人が、知人の業者から材料を買い、それを仕立てて着る様子を見て、その透明な生産ラインを自分のブランドで実現したくなったのだそうです。

糸1本、首の後ろのブランドタグの原材料まで明記されているとのこと。
(くわしくは、greenz.jpの記事をぜひご覧ください。)

この新しいブランドにはWEBを使ったアプローチが欠かせません。

WEBサイトの商品詳細画面には、上にあげたようなプロダクトの全ての情報が、何ページにもわたって綴られています。
もし、お店だけで伝えようとしたら、ハンガーにA4のレジュメ数枚をぶら下げて売らないといけないかもしれません。。

そして、honest by.は、パートナー(販売先)についても、このブランドの姿勢への理解と協力を求めています。

小さな世界なら、当たり前に実現できることが、グローバルで大きな世界では、物理的、組織的にむずかしくなることもあります。リテーラーはこの壁を超えて、こういう新しいプロジェクトに対応していけるのでしょうか。


THE HONEST COMPANY


THE HONEST COMPANYは、女優のジェシカ・アルバがスタートした、ベビー用品の定期購入型ECサイトです。
先日、2700万ドルを調達したとMashableでも伝えられています。

安心・安全に注力したベビー用品たちは、すべてオリジナルブランドのもの。
おむつ&おしりふきのコースと、家庭用洗剤やボディローションなどの詰め合わせの2つのコースがあります。

子供の年齢や、好きなインテリアのテイストや、チャリティに対する姿勢などの質問に答えていくと、オリジナルにカスタマイズされた商品が毎月届くのだそうです。

赤ちゃんのおむつ代って、月にいくらくらいかかるのでしょう。
まったく想像もつかないもので、このサイトの価格設定が市価よりどれくらいたかいのかわかりませんが。。

"誠実さ"のデザインとしては、一般的な考え方かなと思います。



HONEST TEA(おまけ)


スタートアップではありませんが、HONESTつながりでもうひとつ。

HONEST TEAは1998年設立のオーガニックティーブランドです。
当時学生だったSETH GOLDMAN氏が、アメリカには甘すぎる飲み物か、味のない飲み物しかないことに不満を感じて、「本当においしい飲み物を誠実な作り方で作る」ことをミッションに掲げてはじめました。

今はフェアトレードも掲げており、オバマ大統領も愛飲しているとか。
2011年にコカコーラ傘下に入ったので、そのうち日本にもお目見えするかもしれません。

ボトルのふたの裏には、さまざまな名言が書かれているのだとか。ステキです。

photo credit: MoHotta18 via photopin cc

誠実さをデザインする。

安心・安全や誠実さを求める人の、深層心理にこたえるのは、○○認証というラベルや、コンプライアンスや、ソーシャルメディアでのフレンドリーな対話、だけではないのかもしれません。

特に心ひかれた、ブルーノ・ピータース氏のhonest by.の情報開示は、人が商品を購買決定するために必要な情報量を、圧倒的にオーバーしています。その、トゥーマッチなまでの情報開示は、単に人の不安を取り除くためのものではないと思います。

安心安全の証を、"物理的"な情報量としてデザインして見せているところとが、とてもウィットに富んでるなーと感心したのは、私の考えすぎでしょうか。

web上の、とうてい読むことも、理解することもできない量の情報量。何かに似ていると思いませんか?

それは、web上で、何かの会員登録をするときの、利用規約。
あれは、顧客に対する責任範囲と、安心安全を保証できる範囲を開示するためのものです。

そして、誰も読まない。

だけど、その量感で、「あー、ちゃんといろいろやってくれるんでしょ。」という安心?を提供するための、文字の埋まったハコだと私は思っています。

honest by.には、ところどころ、誠実な姿勢と、それとは裏腹な、アンチテーゼみたいなものの表現を感じます。

そこが、ワクワクのポイントであり、今まで現代アートが担っていたような、社会に対する「問いかけ」みたいなものを表現していて、そういうロックなマインドをデザインしているところが男前だなあと思います。

"Be Honest." 誠実であり続けるために。
さあ、これからどんなHonestがデザインされていくのでしょう。
みなさんはどう思いますか??



誠実さについて考えたい人のためのおすすめ。
      
ピノキオ【DVD】(左から、ふつうのピノキオ/スペシャルエディション/プラチナエディション)
ふつうのピノキオが一番高いのはなんでなんでしょ。

photo credit: kennymatic via photopin cc

 

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